2020.4.24
世界的歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリはいう (2020.3.20付「Finantial Times」要約)
人類は今、コロナウイルスによってグローバルな危機に直面している。この危機に臨んで重要な選択とは、次の2つ。
第1の選択は全体主義的監視か、それとも国民の権利拡大か。前者は中国、強権で抹殺した。後者は台湾とシンガポール。台湾やシンガポールは情報を開示し、政府と国民の賢明さによって、コロナをおさえこんだ。
第2の選択 それはナショナリズムに基づく孤立か、それともグローバルな団結か、というもの。
前者はアメリカ、トランプ大統領の道。トランプは人類の将来より、アメリカの利益を優先する。責任は決して取らず、手柄は独り占めし、失政の責めはすべて他人に負わせる。こういう指導者に従う国は皆無だろう。
コロナウイルスを打ち負かすために、私たちは何をおいても、グローバルな形で情報を共有する必要がある。情報の共有こそウイルスに対する人間の大きな強みなのだ。だが現状は、各国国境を閉ざしてバラバラだ。
とはいうものの、危機はみなチャンスでもある。グローバルな不和がもたらす深刻な危機に私たちが気付くことで、今回のパンデミックは人類が生きのびるための好機となる。そのことを願わずにはいられない。
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ユヴァル・ノア・ハラリ:1976年イスラエル生まれの歴史学者、哲学者。2014年『サピエンス全史』の世界的ヒットにより一躍時代の寵児となった。本メールに添付の『日本人はどこから来たの』は同書に啓発されて書いたもの。